掌編小説集

541.やんちゃで元気な後輩は従順なワンコではなく狡猾なUnreliable narrator

女の子ウケするお店や流行りスイーツのチェックは欠かさない
俺のステータスが活かせるなら名目は何でもいい
「お勧めの店があるんだけど、一人じゃ入れないんだよね。」


知ってるけど知らないことにして情報を巧みに操ってみせる
ウイークエンドは一緒が必須条件
「今週末空いてるよね。教えてもらったお礼をしたいんだ。」


グレーな言葉で意向をねじ曲げドタキャンの意思を貫く
気乗りしない時は先延ばしが当たり前
「仕事が忙しいんだよね。落ち着いたらな。」


会いたい時に会って割り切って自由気ままに軽いノリで生きるのがオレ流
「時間出来たから今から行くわ。・・・いや、そっちが来た方が早いから来いよ。」


想像に任せてプロミスリングなんて以ての外
大人な関係なんだから言わなくても理解しろよ
泣いてすがりつくように依存して
ナチュラルハイを押し並べて
盈虧よろしく泥沼に引きずり込むな
「『私達付き合ってるの?』なんて答える必要性ある?付き合ってるようなもんだろ。」




ある日やってきたhorrible嚮導
全女の代表格のようで突飛に現れた宇宙人のよう
手弱女なんて甚だしいことこの上ない

チェックした証拠をあえてカウントずれに突き付けて
チェックメイトばりにまくし立てながら迫りくる

velvetがお似合いのどんなdonnaがせがもうと
俺の与り知らないとこならば心底気分が悪い


都合の良いお前らとは楽しい話だけしたいんだ
話し合いなんて面倒くさいし堅苦しいだけだろ


体を引き裂かれたような痛みを覚えたような
弁えもせず恰も私傷付きましたってな顔して

俺を無責任とか責めてグチグチ言うんじゃねーよ

そんなことよりまずは傲慢を顧みて反省ぐらいしてみせろ
浮気されるような自分に非がなかったかどうかをよぉ


無理矢理に暴くことを暴力ってーの
その頭では到底理解出来ねーだろうけど


「俺のこと嫌いなわけ?」

『き、嫌いじゃないけど』


それが正しい答え


泥犂のようにネガティブに俺を疑い
周りの空気まで不機嫌にさせたこと

俺との関係を続けさせてやってるのに
俺に横暴な態度を無鉄砲に取ったこと

俺という存在がいなければ
お前の存在すら地球の損にしかならないこと
その現実をまずは認めろ

話はそれから

日常を脅かされた身であっても
俺は寛大な心を持ち合わせてるから

やっと気付けた己の間違いに許しを乞われたら
蛙鳴蝉噪な謝罪であっても受け入れてやろう


「それならいいだろうが。」



凡人などには決して味わうことが出来ない人生‐ゲーム‐

汚点‐リスク‐を矜持‐チャンス‐に変える術‐スキル‐を見出だして

遥か高みに登って搾取する側に回って手に入れた戦利品‐ルール‐

傀儡に出精値引‐コンフィデンシャル‐を承服させてしまえばいい

戦略‐レベルアップ‐の総ては自分が楽しめるか否か

場末の濫觴‐クライム‐を肴に司法取引に色を付ける

何かを得るのに何かを破棄‐サクリファイス‐なんてあり得ない



歪な形で継続させた違和感さえ
上書きで手打ち抹消して糜爛も
やがて馴染ませるインサニティ

ドルチェは異様な威容でいよう

ウイークポイントは掌握下に入れ
プライオリティは下げることなく
スタッグ・ナイトは終わらせない
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