掌編小説集

556.乱暴狼藉の限りを尽くせる礼など勿体無い。傲岸不遜を踏み躙って、遠慮無くぶっ壊させてもらうぜ。

彼奴のところには俺が行くからもういい


贖罪も憐れみも同情も
そんな感情は毛頭無い
生きていて欲しいから
彼を救って欲しいから

たとえ君が君の我が儘だと言い張ったとしても
幼子の頃とは意味合いが極めて違ったとしても

どんなにいけ好かない奴でも君が選んだ人で
生まれてから死ぬまで彼に恋し続けるほどに
一目惚れしたあの男を君が愛しているならば


覚悟も無い自分を守るより
なにも守るものが無いより
他人を守る方が強いことを
君から教えてもらったから
権力で守れるのは虚栄だけ


君は無理矢理冗談粧して全部誤魔化して
けれど俺はクスリとも笑いはしないから
冗談が冗談として露程も成立しなくなる


思考を忘れるほど泣くことに浸れたら
仕事をしていた方が気が紛れるなんて

肉体的にも精神的にも消耗しきって
紛れさせることに君は必死になって


助けにくるのが遅くなって悪かった
長い間苦しい思いをさせてしまった

一体どこまでを把握していたのか?
過去を得る為に未来を失わない為に
君を泣かせてまで貫く仕来など無い


俺は君の兄貴だという誇り
他でもない俺がしたいだけ

君を傷付けて悲しませる野郎は
誰だろうと絶対に許しはしない

君一人のせいではなく君だけのために
どんな奴だろうと余す所なく叩き潰す


俺の命に焼べた君の絶望を燃やせ
胸糞悪く灰と化す腹など毛頭無く
誅伐を完遂しても塵一つ残さない
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