掌編小説集

574.防災の意識とは、非日常ではなく日常である。

非常食は非常の時に食べるものではない。
パンやおにぎりなどのそのまま食べられるもの、水やお湯を注げば完成する加工品、糖分が取れるお菓子や飴。
簡易ガスコンロや固形燃料があれば、温かいものも食べることが出来る。
アルミホイルやポリ容器があれば多少保存しておけるし、万能ナイフがあれば様々に重宝する。
保存食もローリングストックして食べておけば、非日常の時間が流れていても日常に戻れる。
水分は飲み水だけではなく食器や体を洗うのにも必要になるから、溜めて置けるタンクは何個あっても困らない。
更に、ラップを敷けば紙皿であっても何回でも使える。紙コップならば保管に場所も取らないし、軽くて割れないから安全だ。

懐中電灯やランタンと電池がたくさんあればいいが、蝋燭にマッチ、ライターもあると尚良い。
ヘッドライトは両手が空くから、手に持たなければならない懐中電灯より便利だ。
昔なら手回しの携帯ラジオが必須だったけれど、今は携帯電話の方が遥かにスピーディーに情報を得られる。
その為充電器は必須であるけれど、太陽で蓄電出来たり発電機があれば結構賄えるはずだ。

衛生用品は、非日常を送る上でも大切になってくる。
ティッシュにハンカチやタオル、除菌グッズやウエットティッシュにハンドソープ、洗面用具である歯磨き粉と歯ブラシ、体拭きシートにドライシャンプーは清潔さを保つのに欠かせない。
携帯トイレとビニール袋に消臭ポリ袋、女性以外でも役立つ生理用品、絆創膏などの救急セットがあればちょっとした怪我でも安心だ。

感染症対策にマスクをして、エアー枕と耳栓とアイマスクをすれば、ぐっすり寝られる確率が上がる。
常備薬や眼鏡は他の人に譲ってもらう訳にはいかないから、予備の準備は怠らない。
着替えの衣類にアルミブランケットのような防寒具や安全に動き回る為のヘルメットや履き物、多少の日差しや雨具を使う程でもない雨を凌げる帽子もあればいい。
筆記用具とメモ帳、千円札や小銭があれば、電気が使えなくても伝えられるし手に入る。
ブルーシートがあれば荷物を置けたり、手袋や軍手なら多少の汚れは気にならない。
非日常だって娯楽は必要だから、トランプなど電気が必要無いものならいつまででも遊べる。

色々な用途に使える風呂敷も入れて、リュックに詰め込む。
普段仕舞い込んでいるキャリーケースの中に詰め込むのも良いけれど、持ち運びには不向きかもしれない。
家や家具、小物だってお洒落に飾るのは素敵なことだけれど、壊れたり飛んできたりしないように考えるのも大事だ。

外出先で被災してしまうことだってある。
笛やホイッスルは体力温存に役立つし、ミニ防災セットを常に持ち歩いていれば時間稼ぎが出来る。

避難所には避難物資があるけれど、出来れば自分の好きなもので囲まれたい。
備えあれば患いなしではあるが、出来ることなら普段使いのまま終わって欲しいものである。
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