掌編小説集

592.騒音feat.○○

会合も説明も無く保育園が出来た
勝負は始まる前から決まっているんじゃない知らないところで既に終わっているんだ
騙し討ちされたみたいと言ったところで
事前の説明が至らず申し訳ないと申し訳なくもなく言い張って
建設事後でも報告は報告という屁理屈もなく
そんな言い分通るかなんて抗議すら出来ない

奇声が毎日聞こえてくる
雨でも窓を閉めていても何かしら聞こえてくる
砂場や遊具がこちら側にあるから砂埃が絶えない
自転車や階段が砂まみれ
何故か運動会だけチラシ一枚で連絡される
路上駐車が増えて通行が危険になった

住宅地に保育園を
理想は否定しないがやり方は間違っている
意見の相違があるからこそ誰の顔色もうかがわずに徹底的にそして大いに議論すればいいのに
そっちの希望や期待と受け入れなければならない側の現実は違う
建設に反対はしないが場所は認める訳にもいかない
見える部分は豪華に金をかけ見えない部分は金を惜しんで被害者の安全を脅かす
張り切ると録な事がない独り善がりで暴走体質のクロマキー
話はまだ終わっていないのにこっちは終わったとばかりに

強硬な手段はそれ相応のリスクが伴う
そしてリスクを負うのは被害者だけ
盛者必衰にも生者必滅にもならず会者定離が輪廻転生で回転するだけ



高層と低層と問わずマンションが建った
日当たりが悪くなった
太陽さえ見えなくなった
マンション同士の間隔が狭くなった
お互いのベランダからこんにちはが出来るね
ただいま~みたいに侵入も出来るね

ベランダ側に何故か自転車置き場があるから
ライトの明かりで明るい明るい
遮光カーテンなのにレールの間から漏れる光は太陽光より突き刺さる
狭い土地に詰め込もうとするから無理が生じる
コスト削減ではなく金を惜しんだ杜撰な管理なだけ



大家を子供が継いでから転居が相次いだ
それまで年に一回すら物音がしなかったのに
毎日毎日するようになった
引っ越しの挨拶も無ければすれ違った時の会釈すら無い

家の中も外も騒音が纏わり付いて
退去命令を出して欲しいほどに
民度が下がってしまった
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