掌編小説集

6.生きることにした

戦乱の世、殺戮の為の存在。
人形同然に扱われてきた私にも大切な人が出来た。

だけど、赤黒く血に染まった手でお前を抱き締め返す事なんて出来なかった。

だから、戦いと共に私の全てを終わらせようとしたのに…

「もう命を奪わなくていい、戦わなくていいんだ。過去は忘れてはいけないけど、俺は君に隣に居て欲しい。生きられないなら俺の為に生きてくれ。それがどうしても出来ないなら一緒に終わらせてやる。」
なんて、怒った様で泣きそうな顔で言うから。

生きることにしたよ。

だってどんな事があっても、お前に死んで欲しくないから。

こんな事思えるなんてお前のせいだからな。責任とれよ?


「『愛してる』」
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