掌編小説集

612.バラストのフェイントには騙されない

両親の実家に行くことは

帰省に付き合わされているのであって

旅行ではない

ましてや家族旅行でもない

楽しんでいたとしても

体験格差は広がって

思い出はそれ一色にしかならない

忙しかったとか言い訳にしても

帰省出来るだけの暇はあるじゃない

今より遊ぶところが無かったとか他のせいにしても

老舗どころはたくさんあるじゃない

混んでいる時期に被ってわざわざ行かなくてもって

その時期にしか出来ないこともあるじゃない

単に孫の顔を見せたい両親のエゴでしかない

別に帰省自体は良しとしよう

ただ大人になってから行くのと子供の頃に行くのと

家族旅行の感覚は違うものだから

行きたかったという思いしか残らない
< 612 / 664 >

この作品をシェア

pagetop