掌編小説集

636.名シーンが伸びをしても手刀を切ってもレトリックに過ぎない

少し調べたいことがあるので確かめてハッキリしたことが分かったらお伝えしますとか
明日お時間ありますか?事件のことで直接会って話をして教えたいことがありますとか
気付いた事を刑事に電話しようとして通じる前に話し掛けたのは正に犯人だったりとか
着信に気付いた刑事が折り返しの電話を掛けるけれど犯人と話中で通じなかったりとか
何かを知ってしまった重要参考人や捜査対象者が寸前のところで手に落ちてしまうとか
連絡が取れなくなったり姿を消したりした後に十中八九殺され口封じされてしまうとか
仕事熱心は良い事ですが家族も大事にしないとと家族の事を知っていると脅したりとか
こちらの言う通りにすれば借りを全てチャラにして無かった事にしてやってもいいとか
ただしもしももしも言うことを聞かなかったとしたら家族がどうなるか分かるよなとか
QRコードを複数枚重ね合わせて読み取らなければ読み取りエラーになってしまうとか
振り子時計の振り子の裏に隠しても隠された物の重みで時間が遅れて気付かれたりとか
通話状態だったのに突然途切れてその身に異変が起こったとタイミング良く気付くとか
ドラマや小説のように劇的でドラマチックな起承転結が正確に起こるなんてことは無く


やっぱり君が疑われてしまっているからいざとなったら庇って身代わりになれるように
犯行現場に駆け付けてあるかもしれない繋がりを示す証拠が無いか隈無く探して隠滅し
その代わりにわざと証拠を残してアリバイ工作もしたのは正解で黒幕を欺くことに成功
犯行時刻を警察に誤認させるよう仕向けて君のアリバイを確保し私のアリバイは無くす
捜査を打ち切らせて更には再捜査に踏み切らせない為に真実に辿り着かないようにする
隠していることをちゃんと話してくれないと正しく庇えないから伸ばし開いたこの手に
躊躇わずに縋りついて欲しいだって捕まってしまったら服役して更生なんて道は無いし
世論も求刑も判決も死刑になってしまうから犠牲を生み続ける君の罪を全て被ってでも
判断する先は長いけれど着々と進み固着する奴を殺したら君は空っぽになって壊れてく
君を失いたくないから君には生きていて欲しいから君の分の二酸化窒素を担当するから
けれど捜査の過程で私のアリバイが証明されてしまって君の身代わりにはなれなかった
しかし同時に君が犯行時刻に犯行現場から○分以上かかる場所にいたことが確認されて
映っていない時間よりも犯行時間が長ければ犯行など不可能であるからアリバイが成立
君にもそもそも犯行は不可能だから犯人なら何故断言出来ない?と詰められる必要無し
完全犯罪を祝う爆弾‐ハナビ‐を打ち上げたとしても真犯人ではないから対応にも困る
心配そうにオロオロしている姿を晒し感動的を装う無知蒙昧の滑稽さなんてものも無く


五十音順にアルファベットの大文字と小文字を当てはめてZvVv
キーボードのローマ字入力とかな入力を利用してfyiy
フリック入力の向きを利用して6・0↑5←0↑
カタカナをローマ字に直して母音を一文字ずつ前にズラしてホ0ナノ0ニ⇉Ho0NaNo0Ni⇉HaN0NiN0
五十音順の縦にローマ字横に数字を書いてA5E9B4E9
携帯の電話機能を利用して6000055000

文字入れ替え法とか頭文字暗号とかシーザー暗号とか数字置き換え法とか懐かしのポケベルの変換表とか暗号の数字が26番までだからローマ字とか言葉を数字にして電話をかけて暗号として残すとか「はんにん」を何としても残すダイイングメッセージとか

なんて複雑さを使わずに啓蒙よろしくわざわざ詳しく書かれているのは対策として始末する罠であって
数字は嘘付かないけれども嘘付きは数字を使って科学は嘘付かないけれども科学を使う人間は嘘を付く
金の為に場所を荒らして修理を請け負ったり盗みに入ったけれど殺してはいないと犯行を一部否認して
現場に残されたレシート等から事件当日の状況や足取りが判明したから行動を整理してみようかなんて
褒めるべき事柄であっても別に褒めていない事実を言ったまでで永字八法の盗塁を極めるしか他ないと
捜査ならば状況に合わせて設定して演じられるけれども例えば驚くようなことがあっても無表情のまま
驚かないの?と二重に驚かれたとしても素晴らしい愛想笑いさえ出来ずに驚きすぎただけと誤魔化して
穴場スポットをSNSで見たから行こうよと言われてそれはもう穴場とは言わないからと真顔で返して
顔色が悪いようだから無理はしすぎないでと言われても心配いりません栄養ドリンクは準備済ですから
残念ながらバレバレで分かりやすいのは本人以外でその言葉で余計に心配させてしまう事に気付かない
仕事にしたりお金を稼ぐことが大変なのであって司法試験なんてものは勉強さえすれば誰でも通るから
言葉そのものの意味は理解出来てもそこに乗ってくる感情が感覚では分からないし感情は理屈でもない
しかし理屈で考えるしか理解出来る方法が分からなくて言語を分析し結び付けるしか方法が見当たらず
被害者被疑者の心情までをも考慮するのが裁判官であり心情を理解し利益を守るのが弁護士であるから
法律に則って判断出来る検事になったのは必然で判例の前例はあっても私の中に前例が存在しないから
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