掌編小説集

645.変遷は改訂しながらも書き下ろしで

手を握るのも許可を得ようとするのだから
キスやその先もしたいなら許可を得ようとするはず

そりゃキスしたいけれど勿論その先だって
でも初めての人に無理させたくない


初デートでデートスポットの人の多さに
チャンスを逃さまいとして緊張しながらも
逸れないようにと繋いだ手を振り払われたから
駄目だったのなら何が駄目だったのか?
人目が多かったから?繋ぐ前に聞かなかったから?
原因を探して頭の中がグルグルしてしまって
グダグダになって大失敗をした経験があるから


そういう事に興味が無いと思っていた

興味が無い訳ないじゃないか


皆に優しく薄く毛布‐ブランケット‐を掛ける人になりたくない
優しいのは優しくしたいのは君だからで君以外にはしたくない
怒りたい時や泣きたい時は君を隠してあげたい
笑いたい時や喜びたい時は君と一緒にしたい
話したり出掛けたりお泊りしたり同じ時間を過ごしたい

私とキスしたいんですか?

僕がじゃなくて君がどうしたいか


言い聞かせるように優しい嘘を付くぐらい私のことを思ってくれている
誰と比べることなくゆっくり僕達の速度でいきましょうと言ってくれる
上から手を差し伸べるでもなく下から支えるでもなく横に並んでくれる


私はしたいですよ

キスして良いですか?


気にして意識しているのは僕だけかと思ったけれど
ボンッと顔から湯気が出るみたいに真っ赤な顔
それでいて嬉しそうに笑うものだから
そのまま顔を隠すように抱き締める


本当に無自覚ですね
もう少しだけこのまま落ち着くまで待ってもらえませんか?
今離したら襲ってしまいそうだから
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