掌編小説集

657.巻頭から巻末まで終の栖‐キャノピー‐になろう

抜け目なく恨みを買った鼻つまみ者の俺を
美談でも何でも無く俺は俺だと言ってくれた
だから長年影を落としていた事件と向き合えた
君も俺もいつ死ぬか分からない
死と隣り合わせのリスキーな仕事だけれども
誰もがクランクインして
誰かがクランクアップして
誰も彼もオールアップするまで
全力で向き合って往くと決めている
君と共に生きることに向き合う


母が愛した人も誰かも分からない父も
母さえも産んだ私と向き合うことに疲れて
久方ぶりに見てらんないと死に逃げた
すべり台がなるへそと永遠に続き
ブランコがほやほやとユラユラ揺れて
監督不行き届きに物色された
半端ないモヤモヤが編成されて
ボディガードのように耳鳴りが張り付いて止まない
彼を非業の死で失うことを怖がる私に
彼は一緒に向き合うと言ってくれたから


元々壊れて歪な欠片同士が集まって
支え合い補い合い綺麗な円形を保っている
そしてピザみたいな形をとりさえすれば
切って貼って付け足してくっつける
たとえ増えても美しい丸になれるよね
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