掌編小説集

661.第二出動に准えられた五一‐デリネーター‐

友達が置き忘れたクリスマス特集の雑誌
出しっぱなしにしていたそれを彼が見て
クリスマス系統なんかに休みは取れない
そんなことを重々知っていてなんて嫌味
友達を代替にせずに直接言えば良いだろ

私はそんなことを微塵も思っていないし
言ったこともないと言ったって堂々巡り
仕舞いには可愛げがないとまで言われて
カチンときてそっちがそこまで言うなら
そうくるのならば今すぐに別れてあげる

どうぞどうぞと彼シャツが良く似合って
可愛げが常設されて私に全く似ていない
彼が思い描く通りの素敵な素敵な彼女を
作ってくださいとそう言えば彼のことだ
売り言葉に買い言葉も頭が冷えるだろう



可愛く行かないでなんて言われてみたいじゃないか
現実的には無理だと分かっているけれど少しぐらい
ほんの少しぐらいでも期待したっていいじゃないか
俺と過ごしたいって思ってくれている確証が欲しい

仕事が忙しいのは分かっている夜通しの朝帰りが常
可愛く言えないのも引き止めて迷惑になりたくない
私の元へ元気に帰って来てくれたらそれでいいから
クリスマスなんて少しだって気にしたことないから

誰かが考えたイベントより代わりの居ない彼が良い
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