掌編小説集
676.家主が去っても草木は生き続けるから。
事件の捜査で関係者として元カノに会った。
背が高くてイケメンだったから付き合ったけれども、真面目過ぎてつまらないと一方的に捨てられた。
仲間に囃し立てられても彼女は素知らぬ顔で。
傷付けたいわけではないけれど嫉妬の片鱗も可愛いヤキモチも見せてくれないから、少々意地悪もしたくなる。
当て付けに元カノの言動に付き合ったけれど、ワガママな買い物に振り回されただけで。
結局ストーカーはでっち上げらしく、嘘を付かれたからと喧嘩を切り上げて元カノから離れた。
それから少し経って彼女が非番の日、身を潜めていたストーカーに元カノが襲われているところにたまたま居合わせて、持っていた鞄で振り回された刃物から庇ってくれた。
幸い彼女にも元カノにも大した怪我は無く、ストーカーも無事逮捕出来た。
ストーカーは本物で本当だったのに信じてもらえなかったと、ぶつくさ切れ切れにふてぶてしい態度で鞄ぐらいと言った元カノに、この鞄は彼女の母親の形見だと反射的に怒鳴ってしまう。
廊下まで響いていた大声にどうしたの?と、不思議そうな彼女に説明を兼ねて謝れば。
父親が母親に結婚記念日のプレゼントとして贈った鞄だから、母親の形見か父親の形見か難しいところだけれど、どちらにしても守ってくれたみたいで良かった、と。
背が高くてイケメンだったから付き合ったけれども、真面目過ぎてつまらないと一方的に捨てられた。
仲間に囃し立てられても彼女は素知らぬ顔で。
傷付けたいわけではないけれど嫉妬の片鱗も可愛いヤキモチも見せてくれないから、少々意地悪もしたくなる。
当て付けに元カノの言動に付き合ったけれど、ワガママな買い物に振り回されただけで。
結局ストーカーはでっち上げらしく、嘘を付かれたからと喧嘩を切り上げて元カノから離れた。
それから少し経って彼女が非番の日、身を潜めていたストーカーに元カノが襲われているところにたまたま居合わせて、持っていた鞄で振り回された刃物から庇ってくれた。
幸い彼女にも元カノにも大した怪我は無く、ストーカーも無事逮捕出来た。
ストーカーは本物で本当だったのに信じてもらえなかったと、ぶつくさ切れ切れにふてぶてしい態度で鞄ぐらいと言った元カノに、この鞄は彼女の母親の形見だと反射的に怒鳴ってしまう。
廊下まで響いていた大声にどうしたの?と、不思議そうな彼女に説明を兼ねて謝れば。
父親が母親に結婚記念日のプレゼントとして贈った鞄だから、母親の形見か父親の形見か難しいところだけれど、どちらにしても守ってくれたみたいで良かった、と。