掌編小説集

678.果報は寝て待てなど程なく死に至らしめることだろう

よそはよそうちはうちの習わしの掟の後遺症

そう言うなら高低差ありまくりの周りと比べんなや

好都合な隣接した近況報告だけ死ぬ気で取り出して

マブダチと絶好調で選抜したオンオフの話を広げ

部外者を入札して終売の告知は屯する集中豪雨

趣旨は言ったもん勝ちのイヤらしいオーディション

大台に乗った売れ筋の配列はハイテクな品揃え

リストアップしたコレクションはこの場を借りて

エッジの効いた屈指の最先端な社交場で即時披露

別条の僅差な差異をあーだこーだあきまへんと

下戸の晩酌は噛み応えのあるお品書きで角打ちの分布は

不適格に極度の落ちこぼれとシバくカットイン

歯ごたえのあるダメ出しの付箋をペタペタ貼りまくり

取り柄はアイデンティティの書き直し‐リニューアル‐

歴とした国際原子時にうるう秒で協定世界時の

肉眼の本編ではトップバッターになれないから

直訳し考案した自分達のみの基準の天文時で

凝ったパラレルワールドを妄想するしかない

つかこっちを比べる前にお前らはどうなんだよ

周りと比べれば赤点にすらならない内申の引責

自分達に都合の良いことは当てはめて前半戦に着陸

自分達に都合の悪いことは受け流して後半戦に離陸

結局自分達の思い通りの道楽にしているってだけ

こっちのことなんかこれっぽっちも考えていない

リスキリングのパシリで残留する老朽化に合掌

在るのはその手が有ると間口の広いお手軽な僭称の体現

自分達が受ける世間体自分達の変えない常識自分達が得る幸せ
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