フルムーン・ナイト
【夜の叫び】
紙袋に詰め込んだ 勉強道具
それを抱え 玄関に走る
見慣れぬ車に詰め込んだ 母のバッグ
それを目にして 車に駆け寄る
母だけを乗せて 走り出した車
重い紙袋をぶら下げて ひたすら叫ぶ
『一緒に連れて行ってよー!!』
泣いても 泣いても 届かなくて
恨んでも 恨んでも 戻らなくて
『大好き』から『大嫌い』に変わった瞬間
力任せに投げつけた荷物から
転がり出した えんぴつ削り
近づいてそれを見下ろせば
こぼれ出した 削りカス
あぁ…一緒だ…
大事な物の【価値】の中に
6才の自分は存在しなかったんだと
真意を知ること叶わず