隣のクラスの猫系男子
「あ、あの……」
「…痕、ついてる」
そう言うと、杉宮くんは再び廊下を歩き始める。
「へっ……?」
……それだけ?
私は、呆気に取られて、杉宮くんが触れた左頬を押さえながら固まった。
杉宮くんは、よく分かんない……
でも、杉宮くんといると、色々な感情が出てくる。
優しい表情に温かい気持ちになったり、意地悪く笑う表情にびっくりしたり、猫好きなところがいいなんて思ったり、帰っていく杉宮くんの姿を見て寂しく感じたり……
さらに、杉宮くんと先生の関係にもやもやして、甥と叔母の関係と聞いてホッとしたりして。
なんか、杉宮くんのことが好きみたいな……
…………好き?
立ち止まったままの私に不思議に思ったのか、杉宮くんは私のところに来て、私の顔を覗き込む。
「……!?」
あまりの顔の近さにドキッとして、私は思わず後ろに一歩引いてしまった。
「…大丈夫?」
「えっうん」
私が答えると納得したのか、振り返って歩き出した。
……私、杉宮くんが好きなんだ。
そう思いながら、杉宮くんの背中を追いかけた。