隣のクラスの猫系男子



「…ん?」


私が目を丸くして杉宮くんを見ていたことを、不思議に思ったのか、杉宮くんは首をかしげる。


「あ、ううん。無理して全部食べなくてもいいんだよ?」


「沢井さんが良ければ全部ほしい」


杉宮くんの目が、気を遣っているわけではなく本気で食べたいということを訴えている。


「もちろん、どーぞ」


「ありがとう」


袋の中を覗き込みながら、マドレーヌ…と呟く杉宮くんは、本当に嬉しそうにしている。


「うまそー、俺にも1つくれ」


そう言って、佐々木が袋からマドレーヌを取った。


それを見た杉宮くんは、じと目で佐々木を見る。


「えっなんだよ。まだあんだから1つくらいいいだろ?」


「…」


そんなに食べたいんだろうか……


「…あの、よかったら今度作ってこようか?」


私がそう言うと、杉宮くんはバッとこちらに顔を向けた。


「……ほしい」


杉宮くんは、なぜか少し照れながら頷く。


「フフッ…わかった」


「?」



なんだかその姿が可愛く思えた。


後日、言った通りマドレーヌを作って渡すと、とても嬉しそうにしていた。





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