【短編】もう少しだけ
ヤバイ。
こんな時は何て言えばいいんだろう?
見下ろされる私はアタフタだし、
聞かれた張本人は、黙ってるし。
「えー!? 真祐君と茅乃って、半年も付き合ってまだ何もしてないのー?」
「うっそーーー!」
「真面目ー」
口々に言われ、ほっといてよっ! と言いたくなる。
私達の事なんだから、口を挟まないで欲しい。
真祐は、私の嫌がる事は絶対しないし、
何かする前は聞いてくれるんだから。
それで上手くいってるんだから、関係ないでしょ?
……嫌がる?
真祐と、そんな関係になるのを嫌がった事なんてないけど。
そう言えば、真祐って何もしてこないよね。
でも、手を繋ぐ時だって毎回『いい?』って聞いてくるし。
キスとかって、聞くのが恥ずかしいのかなぁ?
だから…だよね?
「だから、何?」
「へっ!?」
真祐の言葉に、周りで騒いでた皆が黙った。
睨んでるわけでもなく、怒ってるわけでもない。
だけど冷たい目。
こんな顔、初めて見た。