【短編】もう少しだけ


ヤバイ。



こんな時は何て言えばいいんだろう?

見下ろされる私はアタフタだし、
聞かれた張本人は、黙ってるし。



「えー!? 真祐君と茅乃って、半年も付き合ってまだ何もしてないのー?」

「うっそーーー!」

「真面目ー」



口々に言われ、ほっといてよっ! と言いたくなる。


私達の事なんだから、口を挟まないで欲しい。

真祐は、私の嫌がる事は絶対しないし、
何かする前は聞いてくれるんだから。


それで上手くいってるんだから、関係ないでしょ?


……嫌がる?


真祐と、そんな関係になるのを嫌がった事なんてないけど。

そう言えば、真祐って何もしてこないよね。

でも、手を繋ぐ時だって毎回『いい?』って聞いてくるし。

キスとかって、聞くのが恥ずかしいのかなぁ?



だから…だよね?



「だから、何?」

「へっ!?」



真祐の言葉に、周りで騒いでた皆が黙った。

睨んでるわけでもなく、怒ってるわけでもない。


だけど冷たい目。
こんな顔、初めて見た。





< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop