煙草とキス
すると、向こうから
ちょうど龍也が歩いてきた。
「あ!龍也~、快斗をしつけて~」
徹平は、煙草を灰皿に投げ入れると
走って龍也に抱きついた。
「なんだよ、気持ちわりぃ!
徹平、おまえ酔ってんの?今から打ち上げなのにさ」
「うぇ~、打ち上げとかダルい」
龍也に引き離された徹平は
顔をしかめて戻ってきた。
「え…今日打ち上げあるの?」
あたしは苦笑いしながら、背の高い龍也を見上げた。
すると、龍也は腕時計を見たあと、
あたしの顔をチラッと見た。
「……あれ、澪いたの?」
「悪い?」
「ハハッ、とことん冷たい女だな」
龍也はそう笑うと
大きな手で、あたしの髪をぐしゃっとした。