煙草とキス
「………快斗?」
「あっ、澪?」
「快斗……あたしね…」
あたしは、快斗に電話していた。
「んー、何?」
「あたし…あたしね……」
たくさん流れる涙。
震える声。苦しくなる胸。
「……快斗、愛してる…」
世那から、快斗の過去を聞いたとき
あたしは衝撃を受けた。
偶然メイと出会ったことは、必然とか運命だったのだと思った。
何度も、メイの気持ちを考えては
不安に陥っていた。
だけど本当は、あたし自身じゃなくて、快斗を不安にさせていた。
逆の立場だったら、あたしだって不安になるし、嫌だったのに……。
あたしはそれを、分かっていなかった。
もう、泣きすぎて頭の中は、何を考えてるのか分からない状態だったけど
あたしは、快斗に全部話した。
何度も涙を拭きながら。
何度も謝りながら。
でも、快斗は
「澪……愛してる」
最後に、そう言っただけだった。