煙草とキス





と、そのときだった。







快斗が手を離したと思ったら




あたしの左手に、


快斗が何かをそっと握らせた。





そしてあたしの唇に軽くキスをして、ゆっくりと体を起こした。








「それ……見てみな」




快斗は、柔らかくて、クシャクシャと寝癖のついた髪を手で直しながら



優しい目をして、微笑んだ。





普段あまり見せない表情に



あたしはドキッとしながら、2つに折られた紙を開いた。







すると、それは──────











「bitterlips……ワンマンライブ…?
えっ、ちょっと待って…」




「何、その反応」




「これって……ライブってこと…?」




「そういうこと」







それは、bitterlips 結成初



ワンマンライブ2日公演の、合同チケット。




“オールスタンディング”



そう書かれた文字の横に、快斗の手書きでだろうか。





“優先客”と書かれていた。







< 147 / 280 >

この作品をシェア

pagetop