煙草とキス



1人になったあたしは、ベッドから降りて


チケットとケータイを片手に、洗面台の方へ行った。








このことを、どうしても教えたくて。



早く、この喜びを伝えたくて……








「ひかりさんっ!」



「澪ちゃん…久しぶり!」






あたしは、ひかりさんに電話した。




ひかりさんが大阪に越して以来


あたしたちは、電話とかしていなくて、短いメールを何回かしただけだった。



それも、くだらないメール。




自らのことなんて、さっばりだ。







「ひかりさんに、
どうしても教えたいことがあって…」




あたしがそう、切り出したときだった。




ひかりさんが突然


【 HAPPY BIRTHDAY 】の歌を、笑いながら歌い始めたのだ。






「えっ…嘘、覚えてて……」



「あったりまえでしょ!
私、他人の誕生日覚えるのが得意なの。
自分のは忘れちゃうくせにね」





電話越しでケラケラと笑う、ひかりさん。




久しぶりに話したけど


変わってないなって思った。





本当に………変わってない。







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