煙草とキス
「うわっ!す…すごい人……」
そして、臨時で設置されたのだろうか。
当日券売場と、規模は小さいが、記念グッズやこれまでのCDが置かれたテントが設置されていた。
そこらに群がる人数が……
今までのライブ会場では、見たことが無いほどすごかった。
「や、やばくない!?
こんな大きいとこで、しかも…このファンの群がりよう!今までにないよね?」
茫然と立ちつくすあたしの隣で、興奮しながらあたしの肩を叩くひかりさん。
応えてあげなきゃって思うのに、何故かあたしの涙腺が、破裂しそうだ。
「…澪ちゃん?」
そんなあたしに気付いたのか
ひかりさんは、心配そうな表情であたしの顔を覗いた。
「すっ…すみません…。
あたし、何でかすごく、嬉しくて」
苦笑しながら、空を見上げる。
だって、快斗に言われたんだ。
『泣くなよ、ハタチさん』って。