煙草とキス



「誰も分かんないだろうね。
澪ちゃんが…快斗くんの彼女だって」




「ちょっ…聞かれたらやばいですよ!」




「大丈夫、大丈夫」






慌てて『シーッ』と指を立てたあたしに、ひかりさんは笑ってごまかす。



前にも後ろにも、人が居るのに……。





「そういうことは小声で…」




クスクス笑っているひかりさんに


あたしは小声で言った。



それでもまだ、何か言いたげだ。






「てっ、てゆーか…
ちょっと早く並び過ぎたかなっ?」



「澪ちゃん…慌てすぎだから!」





背伸びしてライブハウスの入口を見ると、ひかりさんが笑いながら、一緒に背伸びをしてきた。



「真似しないで~」




…なんて、2人でふざけながら、お腹を抱えて笑っているときだった。








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