煙草とキス
「まっ、そのクールさが澪らしいけどね」
結は電話の向こうで、
クスクスと笑った。
「……で、なんなの?」
タオルで濡れた髪を
ゴシゴシと拭きながら聞いた。
すると、結は急に黙り込んだ。
「何?黙ってちゃ分かんない」
あたしが長いため息をつくと
結は声のトーンを下げて呟いた。
「もう……お父さんとお母さんにいい顔してるのが、疲れちゃったんだよね…」
あたしは、
その言葉を聞いて驚いた。
「中学は受験して、高校は推薦入学した。
今までずっと、良い子ばっかりしてきたの。高校は進学校だし…これからも、成績は落とすなって言われて」
「毎日毎日勉強ばっかりで……。
タメの子はみんな遊んでるのに、もう…結、嫌になっちゃって」
結は、あたしよりも
長くて重いため息をついた。