煙草とキス
「それでね、今日、大学はどうするの?って聞かれたの。
考えてみたら、東京の大学に進めば、親からも解放されるし…遊べるでしょ?
だから、東京の大学に行くって答えたの」
結の話に時々相づちを打ちながら
あたしはケータイ片手に
苦戦しながら服に着替えた。
「そしたらね、2人とも『汚れた東京なんかに結は行くな』なんて言い出して…」
「汚れた東京……ねぇ…」
あたしはそう呟いて
鼻でフンッと笑った。
「挙句の果てには…『澪みたいに野たれ死んでもいいの?』って言われてさ…。
頭に来たんだけど、言い返せなくって…」
あの親の顔が、脳裏に浮かんだ。
それだけで背筋がゾクッとする。
「………結も、澪みたいになりたい…」
そう呟いた妹に
あたしは何も言えなかった。
そして
自分の親が、親でないように思えた。