煙草とキス
「んー…眠いな…」
片手じゃあ隠し切れないほど
大きなあくびをしたときだった。
「ごっめ~ん!待たせちゃって…」
目の前に、頬や鼻先を赤らめて肩を上下させているひかりさんが、眉間に少しシワを寄せて立っていた。
「あっ!いや、全然待ってないです!
てゆーか、あたしも時間通りに来れなかったんで」
「だよね~、この雨じゃ無理…」
ふぅ…とため息をついて席に座ったひかりさんは、店員さんにグレープフルーツジュースを頼んだ。
ひかりさんの爽やかな香水の匂いと、ほのかな雨の匂いがする。
あたしは一口、アイスティーを飲んだ。