煙草とキス




「澪ちゃん、昨日はよく寝れた?」





すぐに運ばれてきたグレープフルーツジュースを二口飲んだひかりさんは、あたしにそう笑いかけてきた。






「あたしは寝れましたよ?」




ひかりさんは?



そう目で問う前に、ひかりさんは口を開いた。





「私、あの後も興奮が冷めなくてね?
久しぶりにライブハウスで勤めてる子とかにライブの話しまくってたの」



「あははっ、じゃあ、寝れなかったんじゃないんですかー?」




「そうなの~…。
新幹線で爆睡なんて、御免なのに」





口を尖らせながら、ひかりさんはストローでカラカラと氷をかき混ぜる。


その度に、グレープフルーツの果肉が舞っていた。







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