煙草とキス
それから、あたしたちはそれぞれのランチセットを頼んで、他愛ない話に花を咲かせていた。
昨日もカフェでたくさん喋ったのに、話が尽きることはない。
話があちこちに飛ぶのも
ひかりさんの特徴。
なのに、何故かいつも、話にまとまりがあるのがすごい。
けど、もう食べ終わった皿も下げられ、互いに一息つくと
そろそろ“本題”に入りそうな雰囲気へと変わっていった。
あたしがチラッと
ひかりさんの左手を見ると……
やっぱり、指輪が光っていた。
なかなか話を切り出そうとしないひかりさんに
あたしから聞こうかな…と思った、その数秒後。
「…澪ちゃんは勘が鋭いからなー。
もう分かってると思うけど」
ひかりさんが
目線を指輪に落として、呟いた。