煙草とキス




ひかりさんの細い薬指で


キラキラと輝く、小さなダイヤモンド。




すごく綺麗で、すごく素敵だ。







「普通の会社員だから、小さいダイヤなんだけどね。私はこれで充分」





ひかりさんはうっとりとした眼差しで


その指輪を見つめる。



本当に、幸せオーラが出ていた。











でも、本当に驚かされたのは



このあとだった。









「あとね、もう一つ…
言わなきゃないことがあるの。
驚かないで聞いてって言ったら
難しい話なんだけど、いいかな?」



「あ、はい……?」






あれ?あたしの読みでは


“結婚報告”だけだったのに……





一体、何なのだろう。





苦笑するひかりさんの表情に、あたしは何故か、胸騒ぎを覚えた。






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