煙草とキス
「……んっ…」
小さなライブハウスは
雨の東京路地裏に 音を響かせていた。
「もう………始まってるけど……」
「…別にいい。俺らは最後だから」
ライブハウスから漏れる音が
あたしの頭を巡った。
だけど、あっという間に
雨の音と キスで掻き乱される。
「澪………」
深いキスをするだけで……
息が出来なくなるほど
抱き締められるだけで……
他に欲しいものなんて、ない。
「今日も……俺しか見るなよ?」
互いの体と心を求め合うのは
甘い言葉を囁き合うより
数倍も心地よくて
愛してるの言葉より
たくさんの愛を感じられた。