煙草とキス
快斗は、雨に濡れたジャケットを脱いで
ソファに放り投げた。
そして、ギターをスタンドに立て掛けると
あたしの隣に寝転んだ。
「……澪、まだ起きてたんだ?」
快斗は、寝ながら
あたしの体を引き寄せて、キスをした。
「今ちょうど起きた……」
あたしはもう1度ベッドに倒れた。
そして、快斗にギュッと抱きついた。
アルコールの匂いと
快斗の煙草の匂いがすごくする。
だけど、全然不快じゃなくて
むしろあたしは、とても落ち着く。
「快斗……」
快斗の名前を呟くと
快斗は力強くあたしを抱き締めた。
「あたし………冷たい女かな……」
「はっ?」
「冷たくて、最低かな……」
あたしがそう呟くと、
快斗はさらに力強く抱き締めた。
そして、何も言わずに
あたしに何度も何度も、キスをした。