煙草とキス
────バイトが予定より遅く終わり
あたしは睡魔と闘いながら
家路についていた。
家の前まで行くと、中は真っ暗だった。
そういえば、今日もライブだっけ。
今週末には、ライブハウスの夏イベントだって控えているのに。
それのせいか、最近快斗は
あまり家に帰って来なくなっていた。
「ただいま……」
静かな部屋に電気をつけながら、あたしはため息混じりに呟いた。
すると、ベッドの上に
ハガキやら広告がたくさん置かれているのを見つけた。
ベッド脇のローテーブルにある、黒いガラス製灰皿には
快斗の煙草の吸い殻が
2本、潰れて置いてあった。