煙草とキス
間伸びした口調で言った龍也に
「はあ?」と聞き返すと、龍也は電話越しにケラケラと笑った。
「ライブの後、酒飲んだら寝ちゃったんだよ。しばらく俺の車で寝かしてたんだけど」
「マジ?」
「でも全然起きねぇから、梓たちは帰して俺は送ってやってんだよ」
「ご親切にどうも」
笑いながらあたしは言い、窓の外を覗く。
「もう着いたから」
龍也の声を聞くと同時に電話を切ると
あたしは玄関の電気をつけて、閉じていた鍵を開けた。
「お届けものでーす」
外から龍也の声がしてゆっくりとドアを開けると
ギターケースを肩に掛けた龍也と
眠そうな目をした快斗が立っていた。
快斗のクールな目はどこへやら……。
トロンと下がった目には、あくびをする度に涙が浮かんでいる。
龍也のジーンズの後ポケットを摘んで、フラフラしている快斗は
ちょっと女の子みたいで
普段とのギャップに笑いを堪えることはできなかった。