煙草とキス




「あ…澪だ~」




ほんのりと酒臭い快斗は、目を開ききれなくても口元を緩めた。



その姿に、どうしても笑ってしまう。






「俺、もう風呂入る……」





靴を脱ぎ捨て、あたしの髪を撫でながら奥の部屋へ行った快斗は


大きなあくびをしていた。






「あいつ、大丈夫か?」




あたしにギターを渡しながら


龍也が眉間にシワを寄せる。





「あれ、酔ってるの?」



「んー…疲れすぎかな」





腕を胸の前で組んだ龍也も


大きなあくびをする。



龍也の目も、すごく眠そうだ。






「うちに泊まったら?」



「え、いいっていいって」





あたしが聞くと、龍也は首を振る。




でも、この眠そうなまま車を運転させるのは無理があると思う。



事故られたら大変だ。






< 222 / 280 >

この作品をシェア

pagetop