煙草とキス




もう、龍也と別れて


かれこれ4年は経つだろうか。




こんな自虐的な会話をしたのは、お互い初めてかもしれない。





いつも、龍也との過去の話は


極力触れないようにしてきた。




別れてから恋愛の話をすることなんて、そうそう無かったし



快斗も含め、bitterメンバー内では過去の恋愛を掘り返すような話は、タブーみたいな感じなのだ。



“暗黙の了解”ってやつ?




だから、まさかこんな会話をするとは


夢にも思っていなかった。











「なんで帰ってねぇんだよ」





結局泊まることになった龍也と深夜番組を見ていると


快斗が風呂から上がってきた。




引き締まった上半身は


すごく綺麗に見える。






「セクシーすぎるよ」




龍也がそう言うと、快斗は舌打ちをした。



酔いや眠気は覚めたようだが、快斗はちょっと機嫌が悪そうだ。




たぶん、龍也もそれには気付いているだろうけど



わざとなのか、イタズラな笑顔をしている龍也は子供っぽい。






あたしはその横で



ため息をそっとついた。





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