煙草とキス
……でも、こういう様な、ゆるい空気は嫌いじゃない。
むしろ、好きかもしれない。
何を話すわけでもなく
これといってすることも無い。
ただボーッと過ごして
眠いんだけど、まだ寝ない。
そんな空気が、いちばん穏やかだ。
「んあ!」
しかし、空気を変えたのは快斗だった。
「俺、龍也に言うの忘れてた!」
突然快斗が大声を出して
あたしは、思わず紅茶を吹き出しそうになる。
「快斗、大声やめてよ」
「あぁ、ごめん」
あたしが声をひそめて注意すると
快斗はギターを置きながら謝った。
「龍也。実は明日、八木が本社に来て欲しいっつーんだよ」
快斗がそう言うと
龍也は「え!?」と驚いた。
「早く話を進めたいらしいんだ。
それで、メンバー全員と会いたいって」
「明日っつーと……」
「日付変わって、今日の午後3時」
快斗はケータイを開きながら
龍也にそう告げた。