煙草とキス
「女だよな?」
龍也にそう言った快斗は
あたしの手から、そっとマグカップをひったくる。
「そうそう。明日は3人」
「……澪は関わるなよ?」
「アホか!」
龍也と快斗のやりとりがおかしくて、つい笑ってしまう。
気のせいかもしれないけど
こうやってふざけている快斗は、いつも無邪気に笑って
子供に戻っているみたいだ。
「ま、ホントは女と遊びたかったけど。
昼に事務所行くから」
「なんで?」
「グリレコの件とか、話つけねぇと脱け出せねぇだろ?移籍するにも、色々話し合わなきゃなんねーんだよ」
「めんどくせ」
「俺が代表として雑務してんだよ!
快斗、感謝しろ」
ズズーッと紅茶をすすった快斗は
龍也にニコッと微笑んでいた。
「………寝る!」
快斗の微笑みを睨んで、龍也は勢いよくベッドに飛び乗り
薄いブランケットにくるまった。
わざとらしい寝息を立てた龍也は
昔と同じだった。