煙草とキス
「あーあ。怒らせちゃった」
あたしが龍也の寝顔を覗くと
快斗は笑ってそう言った。
「ねぇ、本当に寝てると思う?」
「龍也の特技は5秒で寝れること」
「ふはっ、何それ」
あと半日もすれば
快斗たちは、グリレコに行くらしい。
あたしはバイトに行く。
ちょっと憂鬱だ。
「………快斗」
龍也から目を離して振り向くと、快斗はキッチンの方に居た。
あたしも、キッチンへ向かう。
結婚式のこと、話さねば。
「あのさ、快斗」
「んー?」
結婚式の招待状を手に
快斗の背中に声を掛ける。
細いけど、大きくて逞しく見える背中。
綺麗な後ろ姿。
「招待状、快斗にも来たよ」
そう言うと、快斗はあたしに目を向けた。