煙草とキス
快斗は、あたしをジッと見つめて
それから招待状に目を移した。
「なんで俺に?」
「ファンだからじゃん?」
「だったら龍也だろ」
「いや……。そこは快斗でしょ。
龍也とより、ひかりさんと面識あるもん」
「ふーん」
素気ない目であたしを見ると
快斗は招待状をヒラヒラと扇いだ。
前髪が、微かに揺れる。
「エスコートでもして欲しいの?」
「……えっ」
シンクに寄りかかった快斗を
あたしは見上げる。
ゆるく巻かれた快斗の髪が
快斗の黒い瞳を、片方だけ隠した。
「大阪行ってみたかったんだよね」
「………一緒に行くってこと?」
「ファンサービスね」
いつもより冗談を言う快斗に
何度も笑わせられて。
「ひかりさん、絶対喜ぶ!」
「それまでに波に乗ってやるから」
あたしが声を上げると、快斗はあたしに微笑みかけながらそう言った。
快斗たちには
はやく、波に乗って欲しいな────