煙草とキス





今日、世那が突然



あたしのバイト先に現れた。










────「お、サボってねーな」




「せっ、世那!?」



「久しぶり」







世那といつから会っていないか忘れてしまったけれど


とにかく、久しぶりに会う。




ちょっと嬉しい。







「世那、髪型変えた?」



「うん。快斗ヘアにしちゃった」



「……たしかに似てる…」





ゆるく巻いた髪を


無造作に遊ばせたスタイルは、快斗とそっくりだ。




やわらかいベージュカラーは、世那にぴったり似合っている。



快斗には似合わなそうな色だけど。






「快斗、それ見たら怒るよ」




服をハンガーに掛けながら、あたしは世那に笑って言った。



それを聞いた世那も、笑う。





「もう怒られたよ。俺とかぶるって」



「あはは!だって、似すぎだし」



「おたくの旦那、オレにすぐ怒るからしつけてくれよなぁ。超困るんですけど!」





世那の立ち振る舞いとか


言葉の流し方が懐かしく思う。




まるで、何十年も離れていた人と、再会したような気分。






< 233 / 280 >

この作品をシェア

pagetop