煙草とキス
今日、世那が突然
あたしのバイト先に現れた。
────「お、サボってねーな」
「せっ、世那!?」
「久しぶり」
世那といつから会っていないか忘れてしまったけれど
とにかく、久しぶりに会う。
ちょっと嬉しい。
「世那、髪型変えた?」
「うん。快斗ヘアにしちゃった」
「……たしかに似てる…」
ゆるく巻いた髪を
無造作に遊ばせたスタイルは、快斗とそっくりだ。
やわらかいベージュカラーは、世那にぴったり似合っている。
快斗には似合わなそうな色だけど。
「快斗、それ見たら怒るよ」
服をハンガーに掛けながら、あたしは世那に笑って言った。
それを聞いた世那も、笑う。
「もう怒られたよ。俺とかぶるって」
「あはは!だって、似すぎだし」
「おたくの旦那、オレにすぐ怒るからしつけてくれよなぁ。超困るんですけど!」
世那の立ち振る舞いとか
言葉の流し方が懐かしく思う。
まるで、何十年も離れていた人と、再会したような気分。