煙草とキス
「はいはい、分かりました~。
てか、最近快斗と会ったんだ?」
数着の服をハンガーに掛け終え、世那の方に目をやると
世那はケータイをいじっていた。
「うん。この前の日曜、2人でメシ食いに行ったんだ。オレのおごりで!」
“おごり”の部分だけ強調して
世那はあたしに目を向けた。
そんな世那に、苦笑する。
「快斗、何も言ってなかったよ」
「えぇ!?人の金で食って妻には報告しないなんて、最低な男だな」
「……妻じゃないし」
「いや、そこは乗ろうよ!」
普段よりテンションが高い世那を
少し、白い目で見る。
「なんかテンション違うけど?」
あたしがそう聞くと
世那は急に背筋を伸ばしてあたしを見た。
「えっ…な、なに?」
一歩下がって世那を見る。
すると世那は、フッと口元を緩めた。