煙草とキス
「実はオレ、彼女出来ちゃいました!」
“自分の耳を疑う”って
こういうことだ。
世那に彼女だなんて……
想像もつかない。
「ドッキリ…?」
そう言って、世那を疑いの目で見る。
だけど世那はキラキラと目を輝かせ
あたしに笑顔を向けてくる。
おまけにピースサインまでしている。
どうやら、本当のようだ。
「いつから?」
「土曜!だから次の日、快斗にメシおごって報告してやったんだ」
「あぁ、それでおごったんだ」
『お金無い!』とか叫んでた人が
どうして急に、快斗と食事に行ったのかが分かった。
しかも、おごってまでして。
「澪ちゃんには、オレから言いたかったからさ。快斗には口止料としてメシを…」
「口止しなくても…。快斗なんてすぐ忘れちゃうに決まってるじゃん」
ただでさえ、今はグリレコのことで頭がいっぱいなんだから。
あたしがそう笑うと
世那は口を尖らせていた。