煙草とキス





………って、美季ちゃんの方があたしより年上なんだけど。





でも、彼女が『好きに呼んで』って言ってくれたから


あたしは美季ちゃんと呼ぶことにした。










「それじゃ、また今度ゆっくり」



「うん!ライブハウスにも来てね」



「はい、是非」







美季ちゃんに、笑顔を返す。



本当に美季ちゃんは小柄でかわいくて、おしゃれで


時々見せる幼い笑顔が

どことなく世那に似ている。








「んじゃ、快斗にもよろしく」



「はいはい」






笑顔の世那にも笑顔を返しながら、店の外に出て


アーケードの人混みの中に消えていく2人の背中を見つめた。





手なんか繋いじゃったりして


すごく幸せそうだった。







そしてあたしは



美季ちゃんの後ろ姿を、しばらく声も聞いていない妹の結と


重ね合わせ、すぐに目をそらした。








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