煙草とキス
「そういえば、また今度ライブあるんでしょ?」
あたしが服をディスプレイしていると
ひかりさんが話しかけてきた。
「誰から聞いたんですか?」
「ライブハウスで働いてる友達がね、bitterも出るよって」
「あぁ……」
「快斗くんに、楽しみにしてるって伝えといてね!」
そう言ってニヤニヤしながら、
ひかりさんはあたしの脇を小突いた。
あたしと快斗の関係を知っているのは、
女友達で、ひかりさんただ一人。
まあ、単にあたしに女友達がいないってこともあるんだけど。
けど、信頼してるってのもある。
「じゃあ、伝えときます」
あたしがそう言うと
ひかりさんは微笑んだ。
窓から差し込む太陽の光は
暖かくて、眩しくて
あたしたちをずっと照らしてくれていた。