煙草とキス
なんでかな………。
快斗との関係が
終わるって訳じゃないのに
快斗とあたかも“別れる”みたいな、なんだかモヤモヤした気分になって
すごく悲しくて寂しくて
自分がよく分からなくなっていた。
今のこの状況で
快斗はここに居るわけにはいかない。
一刻も早く東京に戻らなきゃ、最悪、目の前の夢が潰されるかもしれない。
なのに、快斗と離れたくないとわがままを言うあたしは
快斗を支えてるなんて、言える立場じゃないよね………?
「とにかく…俺は戻るから」
ホテルの部屋に着くと
快斗は荷物を持ちながらそう言った。
「東京に着いたら電話するから。あと、何かあったらメールして」
「………うん」
「じゃあ、もう行くよ」
そう言った快斗は、あたしの唇の前で「ごめんな」とまた呟いて軽いキスを残した。