煙草とキス
たった1人残されたホテルの部屋で、あたしはベッドに横たわる。
快斗のことを考えては
ため息をついて。
高尾さんから聞いたことを
思い出しては、唇で噛み締めて。
気付けば窓の外から、眩しい太陽の光が差し込んでいた。
快斗からは、電話ではなくて短いメールが届いただけ。
あたしはすぐにそのメールを閉じた。
夜、何度も考えた。
快斗がメジャーデビューしたら、あたしたちは、どんどんすれ違っていってしまうんじゃないかって。
それが怖かった。不安だった。
『快斗とは、別れたくない』
潮時ってやつが来たら、どうすることもできないかもしれないけれど………
このわがままは聞いて欲しい。
あたしは1人に、なりたくない。
もう、あたしの心は
嫌な風のおかげでざわついてるよ───