煙草とキス

「あ！コレ、欲しかったやつだ」




あたしがＣＤを見つめて


声を上げると




「おう。快斗に言われてたから」と、世那は笑って言った。






「えっ、なんで？あたし一言も快斗に言ってないし……」




「そりゃあ、彼女の好みくらい分かるでしょ」




世那がそう答えると、あたしは首を傾げた。




「あたしの誕生日も分からない奴が？」




「いや……快斗は音楽やってる人間だから。そういうのは敏感なんだよ、たぶん」





何故か、世那は苦笑。



あたしは、そんな世那にふくれっ面を返した。






「なんか、むかつく」




そう呟きながら、世那に代金を渡す。





「はい、どーもね」




受け取った世那は、入口近くのレジに走って行った。




あたしはその後を



ＣＤジャケットを見つめながら追った。