煙草とキス
レジに立った世那の前に行くと
世那は、あたしの手からCDを取り、袋に入れた。
「今度のタイバン、オレたちとやるって知ってた?」
「……え!?そうだったの?」
あたしが目を丸くすると
世那は目を細めた。
「うわ、快斗言ってないんだ?」
「聞いてないよ、世那とだなんて」
「ま、快斗に言っといて。負けねーよ?ってさ」
あたしは大きく頷いて
CDショップから、外へ出た。
すると、そのとき───────
突然、大きな音を立てて雨が降ってきた。
さっきまでの陽気はすっかり消え、
地面に打ちつけられる雨粒と、一気に暗くなった空で
あっという間に、梅雨に戻ってしまった。