煙草とキス
突然、テーブルに置かれていたあたしのケータイが
ブルブルと震えながら鳴った。
まるで、あたしが涙を流すのを止めるかのように、しつこく。
「はい………」
電話に出た瞬間、相手が誰だか確認せずに出たのを後悔した。
もし、また父だったら────
そうは思ったけれど
あの人は、もうあたしを気にしてなんかはいないだろう。
あたしの親は、そういう親だ。
……なんて考えていると
電話の向こうから
ものすごい大声がとんできた。
「澪ちゃん! メイと会ったの!?」
「……はっ?」
ものすごい大声の主は、世那。
だけど、一瞬、世那の言ってる意味が分からなかった。
「だから、会ったのかって聞いてんの!」
いつもとは違う、荒々しい世那の声。
あたしは、眉間にシワを寄せた。
「世那………?どうしたの?」
息も荒い世那に、問い掛ける。
でも
「いいから、答えろよ!」
世那は、そうとしか言わなかった。