煙草とキス




誰にも言えず、だけど、かなり真剣だった龍也への恋。






ゆっくりでも良いから、



龍也に少しだけでも近付けるのなら。







そう願っていたひかりさんの前に、ある日突然、元彼が姿を現したそうだ。




そして…………







“ヨリを戻したい”






元彼は、ひかりさんにそう告げた。








龍也に恋をして、



やっと元彼を忘れられる。








なんとかホッと息をついたひかりさんは、突然のことに驚いただろう。





だが、もっと驚いたことに………








ひかりさんは、龍也を諦め



元彼とヨリを戻すことを、選択した。








「その龍也って人は、あまりにも遠すぎたんだよ。きっとね」






遠すぎた─────






確かに、そうかもしれない。





龍也は、まだメジャーデビューしていないとはいえ



インディーズ界に名を広めつつある、人気者でもあるわけで。





あたしだって、龍也も含めて






bitterが、遠い存在になっているような気がしてならなかった。





< 93 / 280 >

この作品をシェア

pagetop