煙草とキス




あえて………じゃないけれど、



“さよなら”は、言わずに電話を切った。






きっとまた、会えるから。



話せるから。繋がれるから。








そう思うと………




やっぱり涙が溢れてきた。






ひかりさんは、出会った時から



あたしに優しくしてくれて。





仕事のことでも、それ以外のことでも、なんでも楽しそうに話す人だった。






そんなひかりさんとは



自然と心をオープンにして、何でも話すことができた。







人一倍信頼していたからこそ、



龍也のことで、相談に乗れず、協力できなかったことが悔しかった。





それに、同じバイトの子から、その話の全てを教えてもらったことにも




なんだか、嫌気がさした。








でも、今はそんな感情で泣いているんじゃない。





ひかりさんと離れても




近い存在で、また繋がれることに、喜びを感じたから………








この涙が、溢れているのだ。








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